生活と小説 その4


 宇宙の大きさが、今まで考えられていた大きさの三分の一しかなかった、と言われたところで、別にどうということはない、実は百倍だった、と言われても、どうでもいい。それからヤマザキは、布団に入りながら、天井についているLEDのランプをどう取り替えればいいか、考える。考えているうちに段々眠くなる。眠るために布団に入ったのだが、逆に眠気に抵抗したくなる。一瞬、ガクンと意識が落ちたような気がして、目を開けると、窓から朝の光が差し込んでおり、時計を見ると、もう翌日。損した。

 ハタケヤマは周囲から「ハタケヤマさんはそんなに見た目がいい訳ではないけれどモテるタイプ」と言われて妙に腹が立ち、あえて男性を遠ざけていたのだが、最近、腹が立ってばっかりで人生から潤いが逃げていっている可能性があると思い、自分が「モテるタイプ」であることを最大限、利用してみようと思ったが、まともな男が寄ってこない。
 ハタケヤマはヤマザキにメールを打つ。「わたしの魅力ってどんなところでしょうか」

 ハタケヤマからのメールを受け取ったヤマザキは、随分、頭のネジがゆるんでいるやつだなあと思い、ハタケヤマの魅力として「わがまま、ズボラ、短気」と書いて返信すると、すぐにハタケヤマから「ありがとうございます!」という返信が来たが、ヤマザキは、そのメールをハタケヤマが悔し涙を流しながら打ったことには気付く良しもなかった、というよりも、ヤマザキは「ありがとうございます!」とか打つ暇があったら、今までの男性に対する自分の振る舞いを泣いて反省しろ、くらいに思っていた。念頭にあったのは、ハタケヤマと一回食事をしただけなのに、「あいつの目は、獲物を狙っている蛇のそれだったわ!」と変な噂を流されて傷ついているタケナカくんのこと。