生活と小説 その5

 サイゼリコは、ふとヤマザキに電話をしてみたくなる。

もしもしサイゼリコですが。「なんですか」。自分に自信が無いのです。「ああ、それは大変ですねえ」。ええ、大変です。「で?」。はい、どうすれば自信が持てるようになるのかなあ、と。「それをぼくに聞きたい、と」。ええ。「いやあ、ちょっと、君のこと、まだ良く知らないしねえ」。いっしょにお茶した仲じゃないですか。「確かに君のやってることは面白いと思うけど」。

 ヤマザキは妙な電話に困惑すると同時に、自分が頼られている感じが気持ち良かったので、ここは全力を尽くしてサイゼリコに良いアドバイスをしてみようと思った時には、電話の向こうから、冷麦らしい女性の笑い声がしてと思ったら、急に電話が切れた。すぐにメールが来た。すみません、撮影が始まっちゃいました。また電話します。

 憤懣やるかたない気持ちにさせられたヤマザキは、佐々木に電話をしてみる。もしもし、佐々木さん? 「どうしたの?」。やっぱいいです。「なんだそりゃ」。あ、飯食いに行きましょうよ。
 という訳で、ヤマザキと佐々木は、近所の中華料理店へ。